NHKスペシャルの3名が「茅ヶ崎市の広域避難場所」を検討

検討の行方を市民は注視しよう!

2017年1月22日 NHKスペシャル 
「MEGA CRISIS 巨大危機 ~第4集 “地震大火災”があなたを襲う 」

ご覧になりましたでしょうか?

県で最大の延焼火災地域と警告されている茅ヶ崎市。

茅ヶ崎市のなかでも、さらに最大の延焼エリアの「広域避難場所」である茅ヶ崎ゴルフ場。

この場所は6割が県有地であるに関わらず、一人2㎡(広域避難場所の県の基準面積)を一人1㎡に大幅に減らし、避難場所の不足分として海岸の砂防林を指定するという開発案が出されました。

当然ですが、静かな環境とみどりの保全を望む周辺住民の猛反対にあい、事業者の開発案は「白紙撤回」となりました。

しかし、県の財産経営課は、事業提案を再募集すると発表しています。

ちょうどそのタイミングで、茅ヶ崎市が広域避難場所の見直しの検討事業をはじめたのです。

なぜ、このタイミングで・・・?

住民は、広域避難場所の見直しを注視しています。


茅ヶ崎市の「広域避難場所」を検討する3名

今回のNHKの番組、茅ヶ崎市の「広域避難場所」の見直しと大きな関連があります。

「茅ヶ崎市防災会議専門委員」に指名され、新たに茅ヶ崎市の広域避難場所の見直しを検討するのは、以下の3名です。

*東京理科大教授 関澤 愛
*東京大学准教授 加藤 孝明
*独立行政法人 建築研究所 岩見 達也

NHKスペシャルの番組に出演し、延焼火災について解説されています。

どのような内容であったのか、番組をふり返ってみましょう。

岩見氏の新たなシミュレーション

岩見達也氏(建築研究所)が改めて検証しているのが、22年前に起きた阪神・淡路大震災。

1995年1月17日の早朝、神戸が震度7の激しい揺れに襲われた時刻は、風速は3mとほぼ無風でした。

地震発生の当日、神戸市だけで109件もの同時多発火災が発生。

火災が収まったのは数日後、約7000棟が全焼し、400人以上が犠牲となりました。

しかし、条件によっては、火災はさらに深刻化していました・・・それは「風」

もしあの日、強風が吹いていたら?・・・火災はどこまで拡大していたのでしょう?

風速15mでは、延焼範囲は4倍に

岩見氏は、強風でのシミュレーションを行いました。

コンピューター上に、被害が最も大きかった神戸市長田区を再現、出火場所は震災と同じ22か所。震災当日は風速3mでしたが、シミュレーションでは風速15mの強風を想定。

その結果、風速15mでは、火災は8時間後に震災当時と同じ規模に達し、糸魚川市の大火のような「飛び火」も発生、24時間後には当時の4倍近くにまで燃え広がりました。

風速3mとは比べものにならない、広い範囲に、速い速度で延焼が広がる、ということが明らかになったのです。

先の糸魚川市の大火や、関東大震災では風速15mの強風が吹いていて、飛び火や火災旋風の発生がさらに被害を拡大させていったのです。 


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風速15mだった糸魚川市の大火

風が弱い保証はない

そういった強風時に、どれほどの人が犠牲になってしまう可能性があるのか?

岩見氏が注目したのは震災後、神戸市の約4000世帯に行ったアンケートで、その中に、住民が「避難を始めたタイミング」を示す結果がありました。

「火災に気付いても、しばらく避難しなかった人」が、66.7%と7割近くに登ったのです。

(火災に気づく前に避難を始めた人は3.7%、火災に気づいてすぐ避難した人は29.3%)

その理由として、「家の下敷きになった人を救出していた」「大事なものを運び出していた」、また気が動転して「何もできずにいた」も3割でした。

岩見氏は、この避難行動のパターンをシミュレーションに当てはめ、風速15mでの状況を解析しました。

すると、火災が発生した部分が強風で広がっていくなかで、大半の人は自宅の周辺にとどまったままです。

その間にも、強風によって急速に火の手が迫ります。しかし、低い建物では、延焼が50mくらいまで近づかないと気がつかない、逃げようとしても行く手を炎にはばまれ、入り組んだ住宅地で逃げまどっているうちに、火災はますます拡大する、、、

こういった「避難の開始の遅れ」をシミュレーションに当てはめてみると、風速15mでは、最大3000人が逃げ惑い、犠牲となる結果となりました。

「今後、大地震が起こったときに、風が弱い、という保証はどこにもない。じゃあ、どうすればいいのか? を深く考えていかなくてはいけない」と岩見氏は言っています。

広域避難場所の周辺での火災

「非常に不運な出火点分布になったときに、もしかすると、大量の犠牲者が発生する可能性があるかもしれない・・・」

東京大学・生産技術研究所准教授の加藤孝明氏が注目したのは、火災が発生する場所です。

加藤氏は、約112万人が暮らす世田谷区とその周辺をシミュレーションして、炎にまかれる新たなリスクを検証。

想定される首都直下地震で、風速8m(関東大地震は15m)、住民は地震発生から1時間以内に避難を始めるという想定。出火場所は100か所を設定し、場所をさまざまに変えて、3000通りの出火パターンを検証しました。

するとその中で、世田谷区だけで数千人が命の危険にさらされるケースがあることが明らかになりました。

それは「広域避難場所」へ行こうとして、避難所近くの住宅密集地で命を落とすというパターン。

避難を始めた人が向かう先は、各地域で指定されている「広域避難場所」。

広域避難場所につながる住宅密集地では、狭い道路に人々が集中。そこへ火災が燃え広がり、狭い道路に取り残された人たちは、逃げまどううちに炎に巻かれ、命を落とすというシミュレーション結果。

避難場所近くの住宅密集地での火災。そのリスクの高さが浮かび上がったのです。 

「避難場所周辺の出火確率を下げる対策、避難場所の周辺の市街地を燃えにくくする対策が必要。次の首都直下地震のときに、東日本大震災で言われたような想定外の状況を生み出さないようにしたい。」と加藤氏。 

茅ヶ崎の広域避難場所と状況が似ているため、それからどうなるのか興味がわきましたが、番組内ではここまで。話は感震ブレーカーを備えましょう、になりました。


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スタジオでの解説

東京理科大教授の関澤愛氏には、有働アナウンサーが質問します。

「関澤さんは、阪神・淡路大震災をはじめ、国内外の大規模な火災の調査・分析もされてますけれども、今のシミュレーションご覧になって、これ本当に起こりうるんですか?」

関澤「十分起こりえると思いますね。世田谷区だけでなく、広域避難場所の周辺自体が密集市街地というケースはけっこうあります。広域避難場所が、木造密集地の中にあるような所で火災が起きると、たどり着けなくなる。

もうひとつは、強風で火災が起きる場合。最近の例でいうと新潟県糸魚川市の市街地火災。地震の場合は、さらに同時に、ああいうケースが起きるわけなので。日本には台風が来る、こういった気象条件で、強風の中で、大規模地震が起きることは十分ありえる。」

有働アナ「先ほどのアンケートで、目で見て火事が起きてるのが分かっても逃げなかった方が7割近くでしたが?」 

関澤「津波の場合は、警報があってもなくても、大きな揺れがあれば即時に高台避難、ということで割と周知されていると思う。一方、火災のときは、まず、すぐに避難になるかどうかさえ分からない。風速によっても火災が近づいてくるスピードが違うし、風向きがどう変わるか分からない、地域ごとに的確な避難情報を出すのがむずかしい。ですから目で見て判断するしかない。災害報道を見て、自己判断で逃げなきゃいけないという要素があるので、なかなか答えが難しい。」

有働アナ「自分ですか・・・できるかな?」

関澤「同時多発火災の状況がわかるのは、地震発生から1時間後くらい。その時点で、テレビとラジオの報道に注意をしてて、自分が住んでる地域の近くでいくつも火災が起きてるかどうか、これをまず判断する。」

「そういう情報媒体を持ってないときは、少なくとも外に出て周りを見渡す。できるだけ高い所、歩道橋などに立って四方を見渡して、煙が立っていないかどうか、火災が起きていないかどうか、それだけでも判断の目安になる。」

有働アナ「自己判断と言われても、経験したこともないし・・・と思うんですけど。どの時点でどう判断して、今逃げ時なのか、あと10分待ったらいいのかっていうのは、どうすればいいですか?」

関澤「火災がかなり遠く、まだ近づいていないときも、足の遅い人、高齢者、子ども、病気の人はいち早く広域避難場所へ避難する。」

有働アナ「もう火の手が見えたら早めの・・・」

関澤「空振り覚悟の早めの避難が命を救う。でも全員早く逃げればいいということではなくて、自主防災組織の人など日頃、鍛えた腕をそこで発揮して地域の防災に少しでも活躍してもらう。そういう方たちの場合は、それこそ50mとか近づいてきたらやはり逃げなきゃいけませんが、それは足が速いので、火災のスピードよりはずっと早く逃げられますので。」

有働アナ「自己判断だからこそどうやって情報を手に入れるのかが大切です。今、将来に向けた新たな取り組みが始まっています。」

関澤「火災は対策がとれる災害。規模が小さいときにそれぞれの地域で1件でも2件でも消していけば、それが市街地火災を減らす。消防隊が活動しやすくすることに繋がる。決して諦めずに、まず身近なところから対策を考えるということをしてほしい。」

火を消したくても水が出ない

1件、2件でも初期消火で消すこと・・・と番組の最後にありました、

水道管が地震で破壊されて、消火しようにも水が出なかったのが阪神・淡路大震災。

このケースでは、自主防災組織の移動式ホースも使えず、消防が到着しても水が使えなくなってしまいます。

茅ヶ崎市にある配水池(赤羽根)は、250ガル(震度6は250~400ガル)の地震を観測すると、30分後に自動的に緊急遮断弁が閉じてしまいます。また、30分を経過しなくても、貯水量が基準を下回ると、飲料水の確保のために、やはり自動的に水が遮断されます。(神奈川県企業庁茅ヶ崎水道営業所)


★茅ヶ崎市防災会議HP
www.city.chigasaki.kanagawa.jp