なぜ、こんな住民の命軽視の開発が・・・茅ヶ崎ゴルフ場

しかし・・・

なぜこのような「広域避難場所」の開発問題が起きているのでしょう?

問題の背景にあるもの

今から60年ほど前、1957年に茅ヶ崎ゴルフ場は市営のゴルフ場として、高松宮さまの始球式で開場しました。 

名匠上田治の設計で、全国的にもゴルファーに人気のある、9ホールの歴史あるゴルフ場です。

サザンオールスターズの「ラチエン通りのシスター」で知られるラチエン通りに面しています。向かい側にはパシフィック・ホテルがありました。

今でも、茅ヶ崎の面影を残している数少ないエリアで、松林の美しいみどりの住宅地です。この静かな環境にひかれて、ゴルフ場周辺に住むことを決めた住人も多いのです。 

1968年から茅ヶ崎市は経営から撤退し、民間事業者による経営に切り替わりました。

ゴルフ場の20万㎡の土地は、神奈川県が6割、茅ヶ崎共同(株)が4割、市道を茅ヶ崎市が保有していますが、今回の開発騒動は「地権者の利益追求のために起きた」ともいえます。 


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松の美しさも有名 茅ヶ崎ゴルフ場

賃料値上げにより、茅ヶ崎ゴルフ場閉鎖

茅ヶ崎ゴルフ場は「第1種低層住居専用地域」にあります。

他のゴルフ場は市街化調整区域にある場合が多く、つまり地代が高く設定されています。

そのため、過去にもたびたび、地代が問題となり、減免措置(地代を軽減)も取られてきました。

騒動の発端は、2013年に地権者である神奈川県と茅ヶ崎協同(株)が、地代を値上すると決めたことに始まります。

県は値上げではなく減免終了と言っていますが、値上げされた地代はバブル期並の高価格です。

「今の賃料の2倍以上になる」ことから、ゴルフ場の経営会社が撤退を決めることになりました。

閉鎖を知った会員と、「緑の保全と広域避難場所」としての必要性を考える近隣住人の協力で、2014年5月から署名活動が始まりました。

集まった署名は、2万3千人を超えました!(2015年1月現在) 

当初は2015年3月をもって閉鎖とされていましたが、再びゴルフ場とする利用もあり得る、利用方針が決まるまで地代がゼロになるのは地権者(県と茅ヶ崎協同)が困る、との理由から、4月以降は2年間のゴルフ場の継続を行っています。

それと並行して、事業者への利活用の募集が進められているところです。


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茅ヶ崎ゴルフ場の利活用説明会にきた事業者。なんて緑に似合わない光景!

利益優先の行政、命や文化は二の次!

このような周辺住民にとって大きな問題は、2年や3年で結論を出すものではない、と住民は考えています。

行政と地権者と住民、ゴルフ場経営を希望する企業などが、命を最優先に、公開の場で話し合う機会と時間をじゅうぶんに持ち、納得いく道を探すべきです。

県も市も日頃は「防災の備えは住民の主導で」と呼びかけますが、県有地でもある「茅ヶ崎ゴルフ場」の開発騒動は、収益の話が先行し、住民の安全をどう確保するのか、具体的な話は現在も出て来ていません。

パブコメ無視を指示した県

2015年3月、最初のゴルフ場の利活用へのアイデア募集は、事業者に限定されたものでした。

住民への説明は2015年6月になってようやく行われ、9月にパブリックコメントも行われましたが、県の職員はパブコメの意見を無視して基本方針の作成をするよう市に指示しています。

(市は断りましたが・・・)

神奈川県と茅ヶ崎協同(株)は、「県の赤字を解消するために」「ゴルフ場では儲からない」(実は儲かっている)と利益のことばかりを話し、茅ヶ崎市長は「道路占有料360万円の免除をしており、それ以上のことは難しい」と言います。 

市は固定資産税とゴルフ場利用税などで1億3200万円!の税収を得ているにもかかわらず、です。

ゴルフ場には本当に公共性がないのか?

茅ヶ崎ゴルフ場は、「広域避難場所」という防災拠点の役割をにない、茅ヶ崎の象徴である海岸通りの松林の風景をにない、砂防林などを保全し、広大な芝生を維持し、地権者に地代も支払ってきました。

それでも、市の幹部は「ゴルフ場には公共性がないので市税を投入出来ない」と言います。

しかし、今まで市はゴルフ場から税金収入をもらったうえに、「広域避難場所」も維持していたのです。

では、テニス・野球・サッカー、水泳などはどうなのでしょう?

柳島スポーツ公園のための年間維持管理費は1億円をこえます。多額の修繕費も税金からの支払いです。湘南ベルマーレなどは、民間企業でありながら、柳島スポーツ公園で多額の税金の支援を受けて活動します。

多様なスポーツのなかでゴルフだけに公共性がないと言う行政には、スポーツに対してのリスペクトのない思慮の狭さを感じます。


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茅ヶ崎ゴルフ場でのジュニアイベント

住民の生活とひとつになったゴルフ場

たとえば、他国でもゴルフ場閉鎖の危機に対して、ゴルフ以外のサービスを充実し、地域コミュニティと連携することで、魅力的なゴルフ場とまちの環境を育てている例(アメリカ・サンディエゴ市など)があります。

茅ヶ崎ゴルフ場は神奈川県で唯一、ジュニアゴルフのラウンド練習に力を入れているゴルフ場です。もし子供がジュニアゴルフをやってみたいなら、これほど恵まれ開かれた環境はないでしょう。 

そして、昨年より、最終組のゴルファーのスタート後に、ノルデイックウォーキングやグリーンヨガ、ママ&キッズのゴルフ場芝生体験などを開催しています。

地域向けプログラムの試みを続けており、地域との連携を深めています。

必要なことは、茅ヶ崎ゴルフ場と地域の協力

住民は、ゴルフ場のみどりの住環境を高く評価しています


まちに必要なのは、開発ではなく、ゴルフ場の持つポテンシャルを最大限に活かして地域との協力を深めること。

そして、多種多様な公共性と子供達の未来に豊かなチャンスをもたらす。

これが本当のまちづくりといえるのではないでしょうか。

茅ヶ崎ゴルフ場とみどりの存続を願って、2万3千人以上の署名が集まりました。

ゴルフ場の利活用に向けた460人の住民アンケートでの意見を、行政は真摯に受け止めて、事業者とではなく、住人と話し合いをするべきではないでしょうか?